Q値計算再び
5月も今日まで、今年は異例の速さで既に梅雨入り、今日は中休みか、暑すぎずの中々の天候でしたが 再び、「ありがとうの家」のQ値計算。
そして新たに「TATAMIリビングの家」も断熱スペックをざっくり掴むために、仕様を仮決めして事前のQ値計算。
Q値とは住まいから、どの程度熱が逃げていくのかを表す指標で、すなわち、住まいからのエネルギーロスを出来る限り抑えようとするには、どのような仕様を組み合わせていくかを検討すべきものです。
以前に、このブログで「ありがとうの家」のQ値計算の話を少しだけ触れていたのですが、今回は見積もりも出て、前回は仮決めの仕様で行っていたものを実際の仕様に合わせると、どうなるかを確認するためのものだったのですが、
おっと前回よりも性能が上がっているではありませんか?
と言うのも、減額のために窓面積を小さくしたり、減らせる部分の窓数量を減らしたりした事が要因かと思います。
で実際に窓から、どの程度熱が逃げて行っているかと言いますと
先ず、対象となる部分の面積を示しますと
外壁・・・152.99㎡
屋根、天井・・・60.51㎡
床、土間床・・・107.79㎡
窓・・・25.44㎡
換気による熱損失もありますので、単純に面積のみで比較できないのですが分り易くするために、ひとまず対象となる全面積を出しますと
全体で 346.73㎡
ですから、その内で窓が占める面積の割合は7.34% となります。
しかし、そのたった7.34%の面積の窓ガラスから、逃げる熱量の割合は、全体の37%とダントツのトップ、
その次が換気で23.8%、その次が壁で23.7%と、如何にマドガラスから逃げる熱の割合が大きいかが分ります。
すなわち、窓ガラスの面積の大きい家にしてしまうと、如何にエネルギーロスの割合が大きくなるかが、ここからも伺い知れます。
つまり、住まいの暑い寒いに直結すると言う訳です。
しかし、我々、建築家にとって、窓も重要な設計要素の一つである事には違いありませんので、省エネを意識しながらバランスの取れた内容が求められる訳です。
その上で、このQ値計算は私にとって必須項目となっております。
実際、この計算をやってみて分るのは、仕様規定(仕様規定とは次世代省エネ基準とするために予め決められた断熱仕様の事で、そちらの方法でクリアするか、計算して規定値をクリアするかどちらかの方法を選択出来るようになっています)で決められている程のスペックが必要なく、よってコストを必要以上に上げすぎる事無く断熱スペックを向上させる事が可能になると言う事です。
これらの計算ソフトも出回っていますが、そこに数値を掘り込んで単純に数字のゲームを楽しんでいると言う訳では無く、数度は全て手計算により経験してみて初めて、ソフトの成り立ちが理解出来、これらが使いこなせる様になる訳ですので、いきなりソフトを使って楽しようとされる方にはあまり、意味の無い行為であると思います。
そんなこんなで、「ありがとうの家」は仮仕様時と本仕様時の2度手計算をした事で、おおよそ掴めた感はあります。
そして新たに「TATAMIリビングの家」は全てソフトを使用してみましたら、なんと仮仕様段階では次世代基準には少しだけ及ばず、何らかの変更が必要ですが、私の中での結論は出ています。
窓からの熱損失が明らかに大きすぎて50%以上が窓から逃げていると言う事ですので、先ずは窓の計画を見直して、その上で断熱スペックを再考と言う順で進めてみようと思います。