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兵庫県丹波市を拠点に誠実に、これからの木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所 芦田成人のブログです。

大工道具を直してみました

本日も御訪問有難うございます。

 

ノミ1

大工道具を直してみました。

と言っても父親が趣味程度にやっている竹細工に使うノミのカツラ(金属のリング)と言う部分が外れたと言うので直してあげた訳ですが、本当はこの部分使い始める前に一度、外して慣らしてあげる必要があるのですが、そんな事は分らずに使うのが素人たる所以です。この部分は木の柄の部分を補強するために付いている物でこれがあることで柄の部分を叩いても柄が割れることなくノミを入れられます。

ノミ2

こんな風にして直すのですが、カツラ(金属のリング)の内部や外部は叩かれて金属のバリが出来ていますので金属製の平や丸ヤスリを使ってバリを取っておきます。柄の尻(ゲンノウで叩く方)を別のノミを使って鉛筆を削るようにして少し削ります。そしてカツラを柄の尻にはめ込んで、くぎ抜きのL字型になった方をカツラに45度にあてます。そして柄に対してカツラが斜めにならず水平を保つようにしてくぎ抜きの当てる場所を変えながら打ち込んでいきます。この時ノミの先は、いらない材木(リンギ)に充てておきましょう。

ノミ3

カツラの先から木の柄の部分が少し出てくるくらいまで打ち込んだら後は

ノミ4

ひたすら木の柄の部分を叩き潰してカツラの上に広げたら出来上がりです。

 

とまあ大工さんが見ていたら笑われそうですが意外とこんな事、ブログでやってる大工さんって少ないのかも知れませんねー。でも生ちょろい手ですねー、如何にも設計屋さんって感じの手ですが私の手です。

こう言うと語弊がありますが大工道具を使うのはすごく難しいことではないのです。少し練習すれば使えるのですが、難しいのはちゃんと使えるように調整したり、手直ししたり、補修したりする事なんです。逆を言えばちゃんと調整さえ出来ていれば後は少し練習することで使える様にはなるのですが、その調整したりと言う作業がすごく難しいのです。一人前の大工と言うのはちゃんと使えるように、調整したりと言う作業を手っ取り早く正確に行える人と言う事なんでは、ないのかなあと思う経験をした事があります。

ある所でたった1年ほどですが修行した訳ではないのですが実際に道具を使いながら教えてもらった事があるので、こんな事が言えるのですが、ここで更にもう一例挙げると、カンナは刃さえ研げていれば切れるわけではありません。カンナ台の下端の調整(カンナの台はカシなどの木で出来ていますので湿度などによって微妙に反ったりしてくるので調整してあげる必要があるのです)が上手く出来ていないと綺麗な鉋屑が出てきませんし、台の下を直すための台直しカンナと言うのがあって、そのカンナも刃だけでなく台の下端も上手く調整出来ている必要があります。そして、その台直しカンナの下端を直そうと思うと今度はノミが登場すると言うように一つの道具をちゃんと使えるようにしようと思うと、どんどんと他の道具が飛び出してきてそれらの道具がきっちり使えるように整えてられないと一つも仕事が出来ないと言う様な世界であることが、ほんの少しだけですが分りました。

設計の立場でえらそうに大工道具の話をしてみましたが、どんな世界でも道具はきちんと使えて、本来の性能が発揮出来るようにいつでも手入れや調整をしておく必要があるのは当然の事ですよね。