坂道に建つ家 / 2025年
兵庫県宝塚市内に建つお住まいです。坂道に沿った敷地に並列に2台の車を停めることが出来るインナーガレージをご要望されました。坂の傾斜は敷地の途中辺りから勾配も急になりますが、ご要望を満たすことが出来そうな場所は、ここしかありません。その他、残りのスペースで居住空間を確保することになります。許容される建蔽率、壁面線後退、北側斜線など、全てがギリギリクリアできる範囲に建物を収めています。元々、敷地は三方向に擁壁が設けられていて出来れば、それらは触りたくなかったのですが、一辺の擁壁だけは、どうしても触らないと建物がまとまりそうにありませんでした。触った擁壁は基礎を兼用させて、その上に建物の荷重を預けることにしています。道路から玄関までの高低差も大きく、それを楽しみながら吸収するためにツズラ折れになったアプローチを折り返しながら玄関に到着します。車庫棟と玄関棟の下屋に挟まれたスペースに坪庭を設けダイニングキッチンからの風景となるようにしています。内部は吹抜を介して上部からの光を取り込み、階下の窓の少なさを補います。2階の廊下は、そのためにスノコ状としていますが、ゴミやホコリが階下に落ちるのを防ぐためにポリカーボネート板をスノコの下に貼っています。
建築場所 兵庫県宝塚市
敷地面積 221.17 ㎡
建築面積 108.60 ㎡
1階床面積 105.01 ㎡
2階床面積 41.41 ㎡
延べ床面積 146.42 ㎡
Ua値 0.59 W/㎡K
ηac値 2.4 %
施行 有限会社 あかい工房
撮影 中村写真工房
南西面外観
この敷地で並列2台のインナーガレージを設けるには、ここしかありません。木製のオーバースライダーで高級感ある設えになっています。
ツズラ折れのアプローチを駆け上がると玄関に達します。
階段の向こうにある小上がりの畳スペース
玄関ホールからダイニングキッチンに入ると目の前に階段があります。
キッチンからダイニングスペースを介し坪庭を眺める
キッチンに立つと目の前にある坪庭の緑が生活に潤いを与えてくれます。
シンクとコンロ台がセパレートになった造り付けキッチン
キッチンから小上がりの畳スペースを見る
シンクとコンロ台がセパレートになったキッチン
小上がりの畳スペース
小上がりの畳スペースと階段の間には壁はありません。上階からの光を少しでも下階に届けたいためです。但し、玄関からの視線を和らげたいのでアミダ状となった格子を設けインテリアのアクセントにもなっています。
設計当初は鉄骨のらせん階段を予定していたのですが、予算の都合で木製階段としました。木製階段でも鉄骨のらせん階段と同じような雰囲気や役割を担わせたいと思い、透ける感覚を保っています。吹抜は奥行を1間(1.82m)確保したい所ですが、計画上できなかったため、廊下の床をスノコ状にしています。歩く時の人の目線は前を向くため、床が透けていても意外に恐怖感を感じません。
洗面所のボールは天板と一体型になった物を採用し、メンテナンス性も良くなています。2階の廊下の奥にはトイレと洗面を設けているので、毎回下に降りて来なくても問題ありません。