「縁望の家」を振り返る 最終章
さて明日、明後日オープンハウス直前ですが、振り返るシリーズも最終章です。 最後は「縁」について、説明を加えて行きたいと思います。
しかし、その前に少しだけ性能面の説明をさせて頂きます。
こちらの住まいも他物件と同じように環境性能を示す指標としての計算を行いましたので結果を報告致します。
熱損失係数 Q値 2.26 W/㎡K < 2.7 W/㎡K (次世代省エネ基準)
暖冷房などによる熱が屋外へ逃げて行き易さを示す値で、数値が小さい方が性能が良いとされています。但し現在はQ値を改めた指標を用いられるようになりましたが、浸透度では未だQ値の方がメジャーと言う事で敢えてQ値を使用しています。
夏季日射取得係数 0.035 < 0.07 (次世代省エネ基準)
夏季にどれだけ屋内に日射が入るか、即ち数値が高いほど夏の陽射しが屋内に入り込むので屋内の温度は上がる傾向にあり、それを和らげるためにエアコンなどの力を多く借りる事となります。
以上が計算値に基づく値ですが、あくまでも計算ですので、如何に施工がきっちりされるかを現場で確認しないといけません。
さて、前置きが長くなりましたがいよいよ「縁」について
こちらの住まいでは南東のコーナーに設けた縁が住まい全体の面積の1割近くを占める非常に贅沢な一角となっています。しかし、これはこの住まいにとってはどうしてもなくてはならないものと思いプランニングに落とし込みました。
南東の景色が良い事が大きな理由ですが、それだけなら開口部をこちらに設ければ必然的に目に飛び込んできます。しかし、前記に記したように室内環境のコントロールと言うのも私の設計では非常に大きな要素です。
その意味で昔の日本家屋の造りは非常に良く考えられたものと言えます。しかしその欠点は隙間だらけで冬はどうしても我慢して生活しないといけません。それらを改善すると言う意味で、前記に挙げたような環境設計も有用な要素となる訳です。
庇を設け陽射しや雨を避け、その下に出来た空間を第二の部屋として屋内外を結ぶ有用な役割を担わせました。
タイミング悪くベストショットが撮れませんでしたが、屋内外の関係を示す1枚です。
縁側は奥行き1.82mありますので、非常に懐の深い空間が出来ました。
軒裏は構造体がそのまま見える明快な構造としています。一定のリズムで設けた垂木ですが、このリズムを変えたりする事でまた違った表情になる事も、構造体を見せる醍醐味となります。
この縁側にブランコを付けたり、縁に座ってスイカを食べたり、昼寝をしたりと様々なシーンが連想されますが、何よりも内部から眺めるシーンが、一番落ち着くのでは無いでしょうか?
是非、今回のオープンハウスでは、そのシーンを御体感下さい。
これにて、振り返るシリーズを最後と致します。
皆様のご来場をお待ちしています。