構造計算書の偽造・・・
本日も御訪問有難う御座います。
もう既に今朝の各新聞でも大々的に取り上げられているので、ご存知の方も多いでしょうけども東京、神奈川、千葉に建つマンションやホテルの構造計算書が偽造されていたと言う問題。
どうやらこの建築士は構造事務所のようで、構造事務所とは私達のような意匠系事務所とは違って建物の構造や強度の計算や構造図の作成を経験や判断に基づき執り行う事務所のことで、一般的には鉄骨や鉄筋コンクリート造、木造の場合は3階建てになると、計算をする必要があるのですが、この建築士は「コストダウンのプレッシャーがあった」と述べているそうです。
この言葉を信用するなら、構造事務所が施主から直接仕事依頼を受ける事はまず少ないので、この場合のコストダウンのプレッシャーを掛けた相手とは、そこへ仕事を発注する意匠系設計事務所や、はたまた建設会社等からのプレッシャーではなかったかと思うのです。
もしそうだとするとコストダウンの矛先が違うだろうし、安全性を軽視してまで構造体に触れてはいけないのに・・・。
又これを審査する行政や指定検査機関(建築確認書を審査したり建物の検査等が主な業務)の問題もとり上げられていますが、所定の半分の強度と言う事は、数字の上でもあきらかにおかしな部分があったと思うのですが、これら構造計算書と言うのは殆どの場合、計算ソフトを使った数字の山で、ページ数にするとウン百ページ~規模によってはウン千ページと言う膨大なもので、審査する側はある結果の一部分をポイント的にチェックするだけと言うのが現状。しかしこれだけ大きく所定の強度を下回っていたと言う事は、この結果の部分でも明らかに低い結果が出ていたと思うのですが、何をしていたのでしょうね。
結果これを発見したのも指定検査機関と言う事で、機関によるチェック体制の違い、否運営体制の違いが露呈したと言えるのかも知れませんが、以前は建築確認は行政だけが審査すると言う独占市場だったのですが、指定を受けた民間機関の参入に伴い、あってはならないサービス合戦が繰り広げられていたとすれば、書類の上ではクライアントには直接関係はしなくても、現場の段階では大々的に被害を与えた事になり責任の所在も追及されかねませんが、これによって今後良い意味で融通が利く審査体制から昔の役所審査時の堅い全く融通の利かない体制にまで逆戻りする事の無いように願いたいです。
誤解の無いように良い意味で融通が利くと言う一例を示しますと、建築確認書が交付された後、書類を受け取りに行くだけと言う事があるのですが、こういった場合、遠方の場合ですとそれだけのためにわざわざ足を運んでいたのが郵送でも対応してもらえるようになったと言うこと等の事を指しています。