裏付け
「ありがとうの家」のQ値計算。 Q値とは熱損失係数の事で、建物の色々な部位(屋根、壁、床、窓、換気など)から逃げていく熱量を建物の床面積で割った値で、建物の省エネルギー性能を表現する方法の一つです。
このような概念で建物を考える事は、まだまだ浸透していないのかも知れませんし、多分建築業界の中でも数字で物事を考える事に、批判的な方もいらっしゃいますし、数年前までの私も実はそちら側の考えでした。
しかし、これは数字で物事を考えているのではなく、あくまでも漠然と設計を進める事を予防するための裏付けなのです。
例えば、断熱材を分厚くすれば、性能が良くなるのは当然ですが、しかしその分厚くとは「一体何㎜やねん?」
もしかしたら必要以上に分厚くし過ぎていて、過剰なのではないか?即ち余計なお金を掛けているのではないか?と言った事を予防するための過程でもあります。
又、意匠設計者が陥りがちな一例として、屋根を極力薄く見せたいがために性能をおろそかにして断熱材を薄くしすぎると、夏めっちゃ暑い家が出来てしまうと言った事もあります。
それを予防するためには屋根を薄くしたいけども、じゃあどこまですれば性能との両立を計れるのかと言った裏付けにもなります。
良い家、(住まいだけではありませんが)良いデザインにはちゃんと裏付けが必要なのです。
勿論、性能を担保するには、きちんと施工されているかを確認する監理と言う行為が重要な事は言うまでもありません。