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兵庫県丹波市を拠点に誠実に、これからの木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所 芦田成人のブログです。

災害に備える住まいづくり その9

12月になりましたね。

週末は、未だわずかに残っていそうな

近場のスポットで紅葉めぐりをしてみました。

残念ながら、すでに散ってしまっている所も

ありましたが、未だかろうじて

鑑賞に堪えうる場所もありました。

さて、この「災害に備えるシリーズ」も

その9を迎えました。

「2016年の熊本地震で何があった?」

今回も「地震」に備えるお話です。

2016年に起こった熊本地震では

耐震化された新しい家も

多くの被害を受けたそうです。

これまでの地震災害では、

おおよそ築年数の古い耐震化されていない住まいの

被害が多い、とされてきた中で、

我々も注目するべき報告であったのは言うまでもありません。

「2016年熊本地震の特徴」

熊本地震の特徴としては

震度の大きな揺れが数日、時間を置いたとは言え

繰り返されたと言うのが、阪神大震災などとは

違っています。

2度目の地震が本震とされましたが、

1度目の大きな揺れで弱っていた建物に

2度目の揺れで、決定的なダメージを被った

と言う構図だと思うのですが、

しかし、2度とも無事に残った建物もあります。

「直下率」とは

これら2度の大きな揺れを受けて、

残った建物と大きな被害を受けた住宅の違いは

「直下率」の違いだと報告がありました。

直下率とは、2階建ての住宅で1階の耐力壁の位置と

2階の耐力壁の位置が、どれだけ一致しているか?

と言う割合を示したもので

これらが、出来るだけ一致している方が

より耐震性の上では高いとされています。

「力の流れを整理する」

前回、地震などで揺らされた力は

上から下に流れるようになっていると言う

説明をさせて頂きましたが、

上下階で耐力壁の一致している割合が高いと

上の力をスムーズに下の階に伝えやすくなります。

かたや上下階で耐力壁が一致している割合が低い家では

上の階の力を下に流すために、

力を伝えることが出来るルートを巡っている途中に

それに耐えきれない部位が存在すると

そこがダメージを負うこともあります。

そのような違いがあって

数字の上では耐震化出来ている家であっても

直下率の低い家では被害を被ったケースが

多かったそうです。

「まとめ」

結果として、やはり数字合わせの

耐震化ではダメだったという事になると思います。

何度も申し上げますが、

力の流れを整理出来ていることが耐震化の上では

重要と言うことになります。

しかし、これは訓練を積んだ専門家の領域になるために

一般の建築主さんが理解するには簡単ではないかも

しれません。

しかし、平面図上に耐力壁の位置を示して貰い

上の階と下の階で、どれくらい耐力壁の位置が

一致しているかの説明を受けることは

出来ると思いますので、

気にされる方は、住まいの造り手に対して

訪ねてみては如何でしょうか?

「次回は?」

さて、次回はこのシリーズの最終回です。

ここまでで漏れていた話なども追加して

まとめてみたいと思います。

お楽しみ下さい。

Narito Ashida