カブト に アリ
刻み見学の続き
古民家などで黒く曲がりくねった立派な梁が架けられているのをご覧になった事はありませんか?
ああいった材は殆ど松が使われている事が多いのですが、粘り強い性質や癖を生かして使われています。
で材同士が組み合わされる仕口(しぐち)と言う部分がどのような格好になっているのかご存知の方は業界人以外ではあまりいらっしゃらないのでは無いかと思います。
それが下の写真
カブト蟻と言う仕事の名前です。材料が横に寝転がっていますが写真の右側が上になる部分。
上の出っ張った部分がカブト、横長に写っている部分がアリ。
上写真が正規の向きになっています。
でカブトの部分が一部欠けた様に見えているのは上に垂木が掛かる部分です。
建築の世界って面白い物で、このような加工形状や道具などに動物の名前が時折登場します。
カブト、アリ、ウマ、ネコ、他にも多々ありますが、なんだか愉快ですね~。
で上の蟻の部分がそれを受ける材料にはまり込む訳ですが、受け側の材料の形状が
上写真のようになります。
しかし厳密に言いますと、先ほどの松の梁がこの写真の材料にはまり込む訳ではありません。
上の加工は、大入れ蟻 と言って長方形に製材された梁がこの材料にはめ込まれる訳です。
この写真は綺麗に仕上げられた状態ですが、この一段階前は
下の写真です。
上の写真と比較していただくと分かると思いますがルーターと言う機械で墨に従ってある程度まで加工していきます。そして最後は人の手でのみを使って少し丸みの残っている部分を綺麗に取り去って四角く仕上げて行く訳です。
上写真は大入れルーターと言う機械です。
おまけ
先日、選木作業時に書いていた番付けと言うものがこちら梁(桁)にも書かれています。
現場の基礎作業に平行して、このように作業場では棟上げに向けた準備が進められている訳です。
さて、今週末は住まい手にもこの刻みの作業を御見学頂けそうで、又一つ住まいづくりの想い出にしていただけるといいなあと思っています。