見えないを知る事で見える事実
先週調査に伺った建物は他の場所に建っていた建物を移築して早100年以上経過しているとの事でした。 間取りの確認は勿論ですが、天井裏に床下にと建物の隅々まで拝見しました。
こちらの建物、白川郷の合掌集落でお馴染みの合掌造りと同じ屋根の組み方がされていたのですが、もはやメンテナンスの手段も無く遥か昔に鉄板が掛けられています。
その屋根は長年の風雪や荷重に耐えかねて、数年前に大きな音をたてて屋根を支える構造材が折れてしまったそうで、天井裏に上がると骨折した腕に施すが如く、添え木が充てられていたり、新たな材料でトラスが組まれていたりと痛々しげでした。
天井板も脆くなっており、歩くのでさえ急ごしらえで掛けられた合板の上を歩かないといけない状態でした。
このような調査で、どこが悪いのか?その原因は何か?などを知る事も出来ますが、その時代の流行や、建築時期(古すぎる物は推測不能ですが、おおよそ築後30~40年程度の建物)も推測出来たりします。
写真の屋根裏に続き、床下も拝見しましたが、床下が高かった事も幸いし、比較的スムーズに調査は済みました。
これまで何件もの、このような裏側を拝見しましたが、床下に関しては床を開けた瞬間にカビ臭さを感じる場合は何かある、と思って臨んでいます。結果、殆どの場合はその通り何かある確率が高くて、シロアリは来ていなくても、その前段階の腐朽が始まっていたりする事もあります。
こちらの建物でも一部の束で腐朽がありましたので、工事の時に対応が必要な事が判明しました。
又ある時に行った中古住宅購入前の調査では基礎コンクリートの断裂(建物の外側からは補修されていたので、その様子は判断できなかったのですが)を発見し、即購入を見送って頂いた事もあります。
又別のリノベーション工事前の調査では、断熱と言う概念の無い時代の建物である事や米松が材料として使われ出した頃の建物である事も分かりました。
見えない部分を知る事で打つべき手が判明したり、大きな欠陥建築を手にしなくて済んだりと、中古市場が活発化するであろう今後にとっては必需な調査である事と思います。
因みに1、2枚目の写真と3枚目の写真は違う建物です。基礎にコンクリートが打たれている事で、既に違う年代の建物である事が分かります。