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兵庫県丹波市を拠点に誠実に、これからの木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所 芦田成人のブログです。

屋根面温度測定結果

先日いずれも現場進行中の2つの現場において、屋根面の温度測定を実施しました。 そもそも、この2つの現場の屋根には同じ厚みの鋼板を使用しており、しかもどちらもほぼ南へ下った勾配屋根の形状、周囲の障害物による影響を受け難く、建築地域も加西市と西脇市、車移動でおよそ30~40分程度の距離にあり、ほぼ地理的差異が少なく、比較の上でも好条件と言う事で実施した測定です。

おまけに、両現場共に未だ足場が設置されているとあり、屋根までは支障なくアプローチ出来ます。

唯一、違うのは屋根に使用した鋼板の色、片やギングロと呼ばれる、黒に近い色、片やシルバー色で、屋根の上ではやや照り返しが強く感じます。

メーカー発表の熱線反射率にしてシルバーの方が40%ほど高く、さてこの数字がどのように測定結果に現れるのか、興味津々でした。

さて、その結果や如何に、皆様はどう思われますか?

 

私の予想に反し意外な事が判明しました。

と言うか思い込みが招いた無知と言うべきかもしれません。

 

一般的には黒の方が熱をより吸収し熱くなるので当然、黒の方が温度が高いとイメージされるかもしれません。

間違いではないのですが、測定結果では逆の結果が出ました。

と言うのも、温度計は屋根表面の温度を測りますので鉄板に当り、照り返した後の温度を拾ったようで、反射率の高いシルバーの方が測定結果が高いと言うデータが得られました。

 ギングロシルバー

上がギングロ(黒に近い) 午前11時10分頃から約40分間測定

下がシルバー 午後12時30分頃から約40分間測定

出来るだけ条件を整えるために測定時間帯の差も少なくしました。

温湿度センサーはケーブルの先にある物で、鋼板の上に直接置いています、滑り止めのためにタオルの上に載せているのはレコーダーです。

この時間帯の両測定ポイントから最寄のアメダスデータでは、この時間帯どちらも、ほぼ外気温約33℃、現場最寄の測定ポイントの風速、上4m/s、下2m/s

上ギングロの現場、体感ではやや心地良い風が吹いていました。

又測定機械の特性上、下シルバーのデータしか残りませんでしたが、測定時間内には最高59℃位まで温度が上がっている時間帯がありました。

上も同じように記録が残っていればもう少し正確な事が言えたのかもしれませんが、先日の結果では、およそ7~15℃の温度差が生じた事になります。

しかし、この温度差をそのまま読み込んでしまうと誤った解釈になりますので、ここからが結論になりますが

鋼板外側ではこれだけの差が生じましたが裏側では、この差が逆転すると解釈しておかないといけません。

つまり、シルバーは熱を反射させ、黒は熱を吸収するために室内に侵入する熱の量も多くなると言う事だと思います。

それらの事も鑑みながら、屋根面の断熱計画を進めるが必要となります。

幸い、上のギングロの現場では屋根面に太陽光パネルを載せますので、何も載せない場合に比べ、太陽光パネルが室内に侵入する熱を遮る、副効果とでも言うべきかもしれjませんが、屋根に近い2階の温熱環境が断然良くなります。

これは既に前例があり、私も体感済みですので、はっきり断言出来ます。

さて足場がもう少しの間、存在しますので天気が良ければ後1~2度、この測定を試みてみようと思います。