リノベーションについて その10
マンションリノベーション
今回はマンションリノベーションのお話です。
マンションリノベーションと言えばコンクリ
ートの躯体が剥き出しになっているのが格好
良いみたいな風潮があるのですが果たして、
それで良いの?最上階や角部屋であっても、
それで平気?と思えます。
特に最近の夏は異常な高温が続きます。コン
クリートは熱容量が大きい(熱を蓄える能力
が高い)ため昼間に太陽に照らされて蓄えた
熱は時間差で夜になって部屋の中に放熱され
ます。そうなると最悪で、家の中が夜になる
と暑すぎて寝ることさえままならないと言っ
た事態も起こり得ます。
今回、紹介させていただくのはマンションの
1階住戸のフルリノベーションの事例です。
よくある片側が廊下で片側がバルコニーと言
った形式のマンションでは無く、階段室型と
呼ばれる形式のマンションです。一つの階段
の両側に住戸が存在しているため、片面はバ
ルコニーに面し、その反対面の部屋は直接屋
外につながる窓となっています。
いずれの形式でも殆どがバルコニー側は日当
たりが良く、その反対側は陽が射さずに寒い
ため、もしかしたら物置部屋として使われて
いることも多いのではないでしょうか?
共用部分の自由度は
マンションの場合、規約により窓や玄関戸は
共用部となるため触れないことが多いと思い
ますが、こちらのお住まいにおいても同様で
した。そのため窓は内窓を設け二重窓として
います。玄関戸だけは、この時は、どうしよ
うもなかったのですが、今なら対策はとれま
す。
工事前後
上4枚の写真の内、1、2枚目はバルコニー
側の部屋の工事後のものです。間にあった間
仕切り壁は木下地であったため取り払って一
部屋にしています。一方、1枚目写真の左手
の壁はコンクリートの躯体壁であったため取
り壊すことは出来ませんでした。1枚目も4
枚目も窓が3枚なので同じ個所の工事前後に
なります。(広角レンズで撮っているため、レ
ンズから遠い位置にあるものほど歪んで伸び
て写ります。そのため1枚目の写真の3枚窓
は随分と大きな窓に写っています)
北側の部屋
そして、こちらの2枚の写真は北側の部屋の
工事前後になります。工事前は和室でした。
工事後は隣にウォークインクロゼットを備え
た寝室になりました。
マンションでも断熱施工は大切
上の4枚は工事中の写真です。最初の2枚は
外気に面する壁面と熱橋となる外壁の折り返
し部分への断熱施工を写しています。天井面
も熱橋となる部分があるため壁の折り返しと
同じ位置まで断熱を施しています。
又、1階住戸なので床は全面に断熱施工を施
しました。3枚目は二重床の施工の様子です
が床下地材に断熱材が一体化したものを使用
しています。4枚目は住戸中ほどにあったキ
ッチンですが、新たなキッチンは少しだけ場
所を移しています。
キッチン
上の写真のスタバの看板が取り付けられた壁
面に工事前のキッチンがありました。
温熱測定
このように丁寧に断熱施工を施した結果を確
認するため、8月に温熱測定を実施させてい
ただいたところ、驚くような結果が得られま
した。
上下動のない安定した室温
上のグラフの赤いラインは湿度の変化ですが、
下にある青(黒く見えています)のラインは
温度の変化を表したものです。夏真っ盛りな
時期なのに温度変化がほとんどありません。
平均28.4℃、その辺りでずーっと推移してい
て30℃を超えることがありません。確かに一
日中エアコンを付けっ放しにしてれば、そう
なるのかもしれませんが、夜にはエアコンを
オフにされています。
普通にしていれば夏場の太陽の移動に伴い、
もう少し温度の上下動があると思いますが断
熱の効果と日射遮蔽がきちんと行われている
証拠だと思っています。
夏のみならず冬でも安定
又、春先の肌寒い時にも訪問させていただい
たことがあったのですが、家の中に入ると暖
かくて上着を1枚脱ぎました。暖房を稼働し
ているのかと尋ねると何も付けていないとの
ことでした。
やっぱりやったことに間違いは無かったと確
信できた出来事でもありました。恰好ばかり
が優先されがちなマンションリノベにおいて
も、快適に長く暮らすには暑い寒いの課題は
解決しておくべき項目の一つではないでしょ
うか?