伝統的継手の強度(腰掛鎌継)〔こしかけかまつぎ〕
さて、伝統的継手の強度の続編です。
今回は腰掛鎌継(こしかけかまつぎ)と言う継ぎ手です。
土台や梁など様々な場所に使われる継ぎ手で、伝統的継手と申しましたが実はプレカットによる機械加工の継手でも頻繁に使われています。
写真赤丸部分は土台の様子です。
手刻みされた材料はこのように墨の跡が残り、手仕事感が漂い良い感じです。
(但し、プレカットを否定しているものではありませんので、あしからず。)
これは梁に使う材料なので少々断面は大きめですが、男木(おんき)と呼ばれる鎌の付いた側はこんな感じで、女木(めんき)に対して組む時に滑る込みやすくするために鎌の先の下側は大きく面を取り、上に行くほど面は小さくなっています。
こちらは別の現場でプレカット(機械)による加工です。
大きな違いは鎌の下や腰になる部分の下側が丸くなっている所です。
これはルーターと言う刃物を回転させて木を削る特性上仕方のない事なのですが、材料を組む時に組みやすくするには?を機械的に進めるとこうなります。
丸みがかわいい、とおっしゃる方がいらっしゃるかも知れませんね。
で、タイトルは伝統的継ぎ手の強度ですから、これからの話しは手刻みによる場合と言う事で進めます。
この継手の引張り強度(短期許容引張耐力)は4.6KNと言う試験結果が出ています。
前回の追掛大栓は7.2KNでしたので、それに比較すると強度的には劣る事になりますが、適材適所で継手は考えられないといけませんので全部を強い方にしたらええやんと言う事にはなりません。
補足
前回及び今回示した数値は材料がベイマツ、断面12cm角、鎌の継手長さ15cm、追掛の継手長さ36cmとした場合の試験結果ですので、樹種や材料の断面、継手の加工形状によってそれぞれ結果が違う事を頭に入れておかなければなりません。
さて、まだまだ色んな種類の継手や仕口と言った加工がありますので、この続きは当事務所のウェブサイト内の「WEBセミナー」に追々まとめて行く事にしますので、ご興味のある方は一度お立ち寄り下さいね。