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兵庫県丹波市を拠点に誠実に、これからの木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所 芦田成人のブログです。

丁度いいデザイン

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丁度いいデザイン

お正月、初詣帰りに寄ったこじんまりとした静かなレストランでお茶を飲む事にしました。コーヒーを頼んだのですが、出てきたティーカップは絵のような形で真っ白で半円形の取っ手がついたものでした。実にシンプルで見た目は感じのいいもののように思えたのですが、所がいざ飲もうとカップに手を掛け持ち上げようとすると、カップの先が重たくて、真ん中の絵のように危うくこぼしそうになりました。

実はこれ、原因は取っ手の形なのです。一般的にティーカップの取っ手って一番下の絵にあるように取っ手の部分が耳のように少し上に吊り上ったようになっていてこの微妙な形が持ち上げた時に飲み物の重さと力の関係を上手くバランスさせて難なく持ち上げられる様になっていると思うのですが、取っ手が半円形となっていることで無意識に持ち上げようとすると、中に注がれた飲み物との力加減で斜め上に持ち上げるような力関係になり2番目の絵のような状態が起こると思うのですが、さて、これを作った人は実際に使ってみたのかなあ?なんて事を思いながら、慎重に二口目を口元に運ぶ、気を遣うティーカップでした。ちなみに三口目、四口目と中身が減ると同時にこの気遣いはなくなっていきました。

私の推測では、もしかしたらこのカップの製作者は中身の入っていない状態で、シミュレーションしたのかも知れませんね~。

昨年、とある建築家がグッドデザイン賞を受賞したと言うケトル(ヤカン)を使ってみて、その使い勝手の悪さに「何が、グッドデザインなんだっ!」と憤慨されていたのを思い出しましたが・・・。

さて、丁度いいさりげなさの中にちゃんと備わった機能、こんな所に本当のデザインの意味があるんじゃあないのかな?と思った出来事でしたが、私達の身の回りの物って意外と微妙な寸法関係で心地良さが決まっているんじゃあないのかなと思う出来事が又一つあったのですが、

昨年末、亡くなった親戚のおばさんの家で使われていたダイニングテーブルと椅子を譲っていただく事になり早速、それまで使っていた物と入れ替えてみると、何とも落ち着くんですよねー。

で、その原因を少し探ってみようとテーブルの天板の高さを測ると以前使っていたのは約70センチ、譲っていただいた物が、68センチとたった2センチの違いですが全然違います。最初は皆少し低いのかなあ?なんて話をしていましたが今では、この心地良さに満足しています。

ちなみに椅子の座面の高さは39センチとこれは以前の物とも変わりなしなのですが、少し大振りになって、包まれる感がUPしたかなあと言う感じですが、多分テーブルの高さが変わったことが、心地良さに一番貢献しているのでしょう!

この心地良さの感じ方は、個人の身長や、使用環境、用途なんかによって全く変わってきますので、もし家具等を購入される場合は見た目や色と言った表面的な事だけでなく、少し時間を掛けて座ったり実際の使用環境に近い形でシミュレーションしてから決定して下さいね。特に少し値の張る物の場合は決してカタログショッピングで済ませないように、なーんて当たり前のことを申し上げましたが、丁度いい心地良さの加減は個人差が大きいものです、住まいも同じくその、さじ加減の難しさは一筋縄では行きませんが、小さな事から大きな事まで、心地良さを追求する気持ちは忘れずに行きたいものですねー!