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兵庫県丹波市を拠点に誠実に、これからの木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所 芦田成人のブログです。

小屋裏

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小屋裏a

 

 

小屋裏b

 

小屋裏c

 

これは先日、調査に伺ったお宅の屋根裏です。築年数は不詳ですが百年以上は経過していると思えるような痕跡もありますが、この年代の建物には珍しい小屋組みに思います。

水平垂直に部材を掛け渡し構成される旧家屋が多い中、こちらのお宅は登り梁の太い丸太材が斜めに掛け渡されるために非常に小屋裏空間が広く確保されています。そしてその丸太の頂部は2段目写真のように合掌に組まれていて、その上に棟木が掛けられるというような仕事がしてあります。

又一番下の写真の手前の柱を見ていただくと、ぐにゃりと曲がり無数に傷がついたように見えますが、これは製材の技術が発展していなかった頃にチョウナと言う斧のような、道具で丸太からこのようにはつり出して行ったその刃物跡と思われます。

又、この小屋裏の床には数センチ程度に土が盛られ、主に断熱の役割を担っていたと思われます。

一番上の写真を見ると斜めの登り梁が垂れるように使われていたのですが、このような使われ方も珍しく、一般的に曲がった材を使う場合は凸になった方を上にして使う事が多いのですが、しかし数奇屋建築を得意としている工務店さんの話を聞くと、このように垂れ木遣いと言う木の使い方で、長期荷重により骨組み全体を引っ張り引き締める作用があると言うのですが、個人的には、一般的な凸が上になった背を上にした材の使い方をしたいですね。

さて、このお宅、今は誰も住まれていなくて雨樋がトラックの衝突により破損してほったらかしになっているため、足元に落ちた雨垂れの跳ね返しが柱の足元を浸食し、蟻害を受け、胴差まで被害が及んでいます、ここまで上がるのは生息域から判断してもイエシロアリかと思いますが、やはり古い家ほど人が手を入れて風を通して生活してあげる事が、長く住んで頂くためには、必要になろうかと思います。