鎌倉観光 その3
1軒目の目的を果たし、その足で2軒目に向
かうのですが、大通りから外れ、ようやく車
が1台通れるほどの細い道を曲がりくねりな
がら徐々に建つ住宅の高級感が増し、落ち着
きのある雰囲気が漂ってきました。
やがて角を曲がると、アスファルトの舗装か
ら石畳に代わり、坂道に差し掛かりました。
見えてきたのは何らかの施設なのか、普通の
住宅よりもかなりスケールの違う建物が見え
てきました。
ここの訪問者も、殆どが修学旅行生でした。
建物の中では私が建物に入って来そうなので
受付をしようと待ち構える背の高い紳士がこ
ちらを見ているのですが、私は簡単には建物
に入ることはせずに全景を眺め、更に写真を
数枚撮影。
そしてようやく入館したのでした。ここは鎌
倉歴史文化交流館です。鎌倉市扇ガ谷と呼ぶ
高級住宅街に建つ、この建物は元は個人の邸
宅として建てられたものだそうで、それが鎌
倉市に寄贈され歴史文化交流館として使用さ
れるようになったのだそうです。
設計はノーマンフォスターと言うイギリスの
建築家とそのパートーナー達によるもの。分
厚いコンクリートの壁を水平に数枚並べ、そ
の間を居住(展示)スペースとして利用する
構成となっています。
先ほどの長身の紳士は入館前の私の行動を見
て「建築関係の方ですか?」と尋ねられまし
た。私は「はい、そうです」と答えると、や
っぱりなと言った表情で、建物について色々
と情報を説明して下さいました。
他の方にも説明している訳ではなく、恐らく
建築に興味のある方にのみ出している情報な
んだろうと思いますが、その説明がマニアッ
クで中々面白いんです。「壁の人造大理石に
は光ファイバーが埋め込まれていて・・・」
や「床に使われているタイルは昔、中国の文
化遺産にもなった庭園で使われていた中古品
だけど、その時の刻印がこんな所にあるんで
すよ。」や「本館と離れの間にある山間の階
段を上って上からこの建物を見ると壁式構造
であることが分かる」など、色々と面白いウ
ンチクを聞かせてくれました。
窓ガラスにはテレビのブラウン管で使われて
いたガラスをを張り合わせて磨いた物が使わ
れていたりノーマンフォスターの素晴らしさ
を語ってくれました。すっかり内部の展示よ
りも、そんなマニアックな建物の隅々を見て
回る見学になりましたが、非公開エリアには
屋上にプールもあったそうです。
本当にこれが個人の邸宅だったなんて、とて
も贅を尽くしたような家だったことが想像で
きます。最後は当館のパンフレットを購入し、
買えていなかったお土産の続きを求め再び鎌
倉駅へ向かって行くのでした。
ゆっくりと鎌倉の名所を見学すれば、こんな
にせわしないことにはならなかったのですが、
どうしても行きたかった場所への移動のため、
お昼少し前に鎌倉を出発しました。(つづく)
坂道を上った先にある建物へのアプローチ
光ファイバーが仕込まれた人造大理石。雲母の部分から光が放たれる。
この場所は元は石切り場だったそうです
ブラウン管を張り合わせて磨いたガラス
離れへのアプローチ