兵庫、京都、大阪で誠実に、丁寧に木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所

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兵庫県丹波市を拠点に誠実に、これからの木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所 芦田成人のブログです。

吹抜もほどほどに

以前、リノベーションのご要望に「吹抜けを
つくりたい」と言うご要望がありました。

どの程度の規模の吹抜かを確認したところ、
相当大きな吹抜けをイメージされているよう
でした。しかし私は、そのご要望に沿うよう
な提案はしませんでした。それは何故だと思
いますか?

実は、吹抜も力の伝達経路になっているんで
す。力って何の力かと言うと地震などの大き
な力が作用する場合のことを指します。

建物に作用する力は上から下に流し、最後に
はその力をスムーズに地面に流すと言うのが
理想なんです。その経路の中には床も含まれ
ます。

地震には「耐力壁を」などと言う言葉を聞い
たことをある方もいらっしゃると思います。
壁は注目されるけども、床への注目は薄いの
が実情です。吹抜けをつくると言うことは、
これまで力の伝達経路の一部であった床を無
くしてしまうことになるので、そこにかかる
力はどこへも行きようがなくなると構造体の
弱い部分を狙って力が作用し、建物を壊して
しまい兼ねません。

なので、大きな吹抜けへのリクエストは説明
をさせていただいた上で小さな吹抜けで提案
をさせていただいたのですが、どうもご不満
のようでした。

結局、この仕事は成立しませんでしたが、全
てのリクエストに素直にお答えするかと言う
と、プロから見てダメなことは駄目と言える
のが本当のプロだと思っているので、止めて
おいた方が良いことは、はっきりとお伝えし
ています。