兵庫、京都、大阪で誠実に、丁寧に木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所

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兵庫県丹波市を拠点に誠実に、これからの木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所 芦田成人のブログです。

建築は実物を見てなんぼ

建築は実物を見て初めて見たと言えます。
確かに写真やネットで見る事も出来ますが、
その場合サイズ感や細かな納まり、
空気感、建物が放つ雰囲気など
五感で感じ取れるものは何もありません。

名作住宅と呼ばれるような住宅には
割とコンパクトな物が多いと言います。
逆に、その大きさに感動したのが
丹下健三さんが設計された国立代々木体育館や
東京カテドラル聖マリア大聖堂です。

後者を初めて見たのは団体行動で、
その周辺をウロウロしていた際に
たまたま通りがかると写真で見たことのあった
独特のフォルムとシルバーの輝きに、
あれやっ!と感動したのですが、
いかんせん団体行動でしたので、
その時はそこまででした。

次に訪れた時は必ず中に入ってやる
という意気込みで訪れたのですが、
改めてその異様な大きさに感動し、
中に入ると宗教建築っぽい荘厳さと
厳かな雰囲気に圧倒されたのでした。

いやあ、あの時代にこんなボリュームの
建築を図面でコントロールし、
それが実際に建つなんて、
丹下さんの、やってやる精神のようなものを
感じたのです。

今の時代ならパソコンであらゆる
シミュレーションもし易くなっていますが、
当時の設計者並びに現場に望まれた方々の
魂と言うべき建物であると感じました。

一方、私どもが関わる住宅では、
人を圧倒するほどのボリュームはありませんが、
その中に居て人が落ち着いたり、
日射しや風を感じたり、
そしてなによりも家に入った途端に香る木のにおいが
何とも言えず、その香りは何年も続きます。

写真やネットで得られるのはレンズを通し
フレームで切り取った、ほんの一部に過ぎません。
自分の目で見て初めて建築を見たと言えるのです。

Narito Ashida