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兵庫県丹波市を拠点に誠実に、これからの木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所 芦田成人のブログです。

災害に備える住まいづくり その6

少し、間が空きましたが「災害に備える住まいづくり」

シリーズの続きです。

前回は、台風被害に備えるケースの一つとして

窓ガラスを守るための雨戸のお話でしたね。

今回も、台風被害に備えるお話です。

以前、高知県に勉強に訪れた際に

昔から高知県は台風上陸の頻度が高いために

建物には、ある工夫をされていると言う

お話を伺ったことがあります。

その工夫とは、そんなに難しいことでも

費用の掛かることでもなく

単純に、「軒の出を短くする」と言うことでした。

では何故、軒の出を短くすると台風対策となるのか?

ですが、昨年大阪で起こった台風被害の映像の中で

屋根ごと風で巻き上げられ、

飛ばされていたのを覚えておられませんか?

あれは、屋根の下側から風が巻き上がり

軽い屋根が持ち上げられたことが原因です。

台風時には屋根の下側から風が吹きあがる現象が

起こり得るんです。

そうすると屋根と言う1枚の薄い大きな板状の

物体ですので、そこに風による大きな力が作用することで

持ち上がっちゃうんですね。

軒先が大きく伸びていると薄い板の端に大きな力が

作用しやすくなるので、高知県では軒の出を短くすることで

その現象を起こし難くするのが狙いです。

もっとも、ハウスメーカーなどが建てる住まいや新しい家なども

全てが、そのように造っているという事では無いとは思いますが

伝統を受け継ぐような造りの家では、

そのようになっていると言うことだ、と思います。

全ての屋根が前述のような被害を受ける訳では無いとは思いますが

比較的、年数を経て木が痩せていたり、釘やビスが

雨漏りなどの影響により錆が発生し、

木と木を止め付ける力が落ちてくると、

脆くなり、被害を受けやすくなります。

では、軒の出が無い家にすれば良いのでは無いか?

と言う考えがあるかもしれませんが、

そのケースは、それで又別の問題がありますので

次回にそのお話をさせて頂こうと思います。

Narito Ashida