剛性ってなあに?
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さて、前々回次に移り住んだマンションが鉄筋コンクリート造の壁式構造で、この構造は剛性が高いと言う話をしましたが、剛性とは何ぞや?と言う話をもう少し具体的に画像を用いて説明してみます。
画像はコンクリートではありませんが、お手製の木製フレームです。意味合いは少し違いますが、剛性の説明をする上では木造でもコンクリート造でも大差ないのでまとめて説明致します。
今、住まいの柱と梁の一部分を取り出した物がこのフレームだと思って下さい。このようなフレームが連続して住まいの壁面が出来上がっています。ただしこのような状態ですと画像の向かって右や左から地震や台風などにより力が加わるとこのフレームは
2段目の画像の赤いラインのように平行四辺形に変形してしまいます。(ただし向かって左側から力が加わった場合)このように変形してしまうのはお分かりいただけますでしょうか?
ではそれらに抵抗させるためにはと言うことで、色々な方法が考えられると思いますが
その一つ目が木造の住まいでよく見られる筋交い(すじかい)と言う物ですね。(3段目の画像)フレームの変形を拘束するようにツッパるように抵抗するのが主な目的ですが、図の赤の矢印と反対からの力(引っ張り側)にも若干効力もあります。ただしこの筋交いを使う場合、昔の大工さんは釘だけで柱に止めつけていましたが、今はある断面積以上の筋交いは建築基準法により、さまざまな専用の金物で止め付けなさいと言う風にうたわれています。しかし、私達がすむ田舎では建築基準法の適用を受けない地域もあり、大工さんによってはそのような金物の使い方を知らないで「これで、大丈夫やっ!」って未だに釘で止めてしまっている人が居るのも事実です。
但し、筋交いの場合は効果が現れるまでにフレームは少し平行四辺形に変形します。これを初期剛性が低いと言う風に表現しています。つまりある程度変形しないと筋交いが突っ張れないと言うことです。地震や台風は1方向からやってくるわけで無いので、あらゆる方向からの攻撃を想定して、筋交いの向きを検討しておく必要がある訳です。
では初期剛性が高い抵抗要素は何かという事ですが、構造用合板と言う板をフレームに貼り付ける方法ですが、どのような板でもいいというわけでは無く、構造用合板と認定されたものでなければいけません。画像はシナ合板ですので、本来ならこのようなものは構造用の材料として用いることは出来ませんが、材料の端材で作った模型ですのでご容赦下さい。
これは板全体でフレームの変形を拘束しようと言う物でして、上記の壁式鉄筋コンクリート構造はどちらかと言うとこの考え方に似ています。出来るだけ変形を拘束しようと頑丈につくる訳ですから、大きな開口を沢山設けにくい等の与条件も沢山ある訳ですが、頑丈につくる分、限界点を超えると粘らずに脆く崩れてしまうと言う欠点も持ち合わせた構造ですが、阪神大震災時には地震に強い構造だと言う風に表現されていましたが、最近では免震だとか制震だとか色んな工法まで出てきていますので、コスト対効果を見極めた上で採用されるのがベストでしょうね。
つまり剛性とは、このような壁や床面などが変形し易ければ、剛性が低いと表現され、変形しにくければ剛性が高いと言う風に言われるものです。昔は壁面についてだけの検討をすれば良かったのですが、今は床や屋根などの水平面いついても剛性を検討しておく必要があると言われるようになっています。
で、相談会などで時々、構造に興味のある方から受ける相談ですが、筋交いと合板と一体どちらがいいんだと言うことを聞かれますが、偏にお答えしにくい質問です。結局、プランニング(間取りや立断面計画などをする事)、の段階でどの工法を念頭において考えているかで答えが変わるので、プランに適した工法で、適切な施工(てきとうな施工ではないですよ)されていればどのような工法でも安全性の担保は確保されると言う風に考えたいものですが・・・。