兵庫、京都、大阪で誠実に、丁寧に木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所

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兵庫県丹波市を拠点に誠実に、これからの木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所 芦田成人のブログです。

木造3階建住宅

前回の続きですので、まだの方は前回から御読み頂くと、内容が繋がると思います。

 

「その他です!」とはっきりと言い切ったのには裏付けがあった。これ以前に東大阪でもこの仕様で設計していた経緯からどうどうと、こう言えたのだが、職員のいぶかしげな顔に「開口部制限型っていうのがあるでしょ」と言うと、またもや???、聞いた事が無かったのか宇宙人との会話のように意味不明的な顔をされた。

 

あかん、コイツじゃあ、らちがあかん。そう思い、奥にいたベテラン職員を呼び、同じ話をした。すると、うんそうやねと言った返事があり、ホッとする。これで無事確認申請は受付完了となる。

 

さて、この開口部制限型とは何ぞや?と言う事を説明しないといけませんが、ブログ上では限界がありますので必要な方は当方のホームページを通じてでも構いませんので御連絡下さい。若しくは、御近くの建築設計事務所で御伺い下さい。ここでは簡単に説明します。

 

準防火地域の指定を受ける地域内で木造3階建て(1階がコンクリート造でも同じ)の住宅を建てようと思うと床以外の柱や梁の木を見せたままの家が建てられないのか?と言った事を模索した結果辿り着いたのが、この開口部制限型と言う仕様での建て方ですが、読んで字のごとく敷地や道路から建物までの後退距離に応じ、窓の面積や仕様に縛りを掛けて、内部で起こった火災から近隣の建物への延焼、類焼を防ごうと言うものらしいのですが、木の家は、燃えると言う概念から考えられたのでしょう、実に馬鹿げたもののように感じる。

 

敷地や道路から建物までの距離が1m以下の所にある窓は火災の時に自動的に閉まる装置がついた窓か、開かない、はめ殺しの窓、又は常時自分で勝手にしまる事が出来る窓を付ける必要がある、但し書きとしてはトイレや洗面所などの換気用の窓は面積0.2㎡以下なら付けてもいい事になっている。1mと言うと狭小間口の土地では、敷地の間口ほぼ一杯に建てる事になるので建物の前面若しくは背面のみの窓となり、両側面は、自由に窓も付けられずおのずと換気性が悪くなる。

 

こんな事、お客さんに説明して「法律なんで」と言っても、やっぱり納得しがたい顔になる。仮に自分が住むならやっぱり建物には換気性が確保出来る程度には自由に窓くらい付けたい。と言う事で、それだけの為に検査済を受けるのを止めとこかとなる。

 

止めとこかと言える人はいいのだが検査済を取らないと公庫の融資は受けられない、又公庫で無い場合でも金融機関によっては検査済証の提出を要求する所もあり、それだけの為にお金を借りられないのは、納得し難い。

 

そればかりでなく、違反建築物のレッテルを貼られかねない。違反建築物=欠陥建築物と言う事を言う人もいるが、それは行き過ぎた考えであり、建物単体のことを考えるならば、換気通風がしっかりと考えられた家でなければ、家自体の寿命にも影響し、結果短命な住まいの乱立につながり、スクラップアンドビルドが繰り返されると言う悪循環に繋がりはしないか?もう一度、建築基準法について多面的に見直す必要がありはしないかと思う。

 

すいません長くなり、一体誰に対して怒っているのか分からなくなってきたのでそろそろこの辺で切り上げますが、私たちの仕事は、ただ単に法に従うだけでなく、時にはお客さんの為に豊かな生活を実現するために、法に対しても挑んでいく必要があるのです。

 

これはもう少し文面をしっかり練り直し業界紙にでも投稿することにしようか?と一人つぶやくのでした。