大黒柱はなぜ太い?
お若い方には「大黒柱」と言ってもご存知ない
方がいらっしゃるかもしれません。もしかした
ら鬼滅の刃の新しいキャラクター?って答えら
れてしまうと、思わず笑ってしまうかもしれま
せん。
今の住宅には大黒柱が無い場合も多いので、知
らないのも当然になる日が近いかも。大黒柱と
は、家の中心付近にあって、他の柱よりも一回
りか二回り、或いはそれ以上に太い柱のことを
指します。
では、なぜ大黒柱は太いのでしょうか?家の中
心にあって、この柱が建物をしっかり支えてい
るんだと言う意味合いで象徴的に太い材料を使
っていると言うのも一説ですが、他にも理由が
あると考えています。
家の中心にあると言うことは、柱のあちらや、
こちらから梁を受けることになります。或いは
梁が柱に刺さってくることになります。すると
柱と梁が交差する部分には何らかの加工が施さ
れます。
このように柱と梁が交差する部位のことを仕口
(しぐち)と呼びます。特に大黒柱は家の中心
にあって、2階まで延びていることが多いため
柱の方に大きな仕口が施されることになります。
次の写真が柱仕口のモックアップですが、実際
に組まれていた物をその部分のみ切り取ってい
ただいてきました。
写真の赤いラインを入れた部分で柱を切断した、
その断面が下の図になります。仮に、柱が12cm
角の材料の場合、何も加工が施されていなけれ
ば、その断面積は144㎠です。所が同じ太さの
材料に4方向から梁が刺さってくる場合、その
部分の断面積は71.04㎠になります。(図右上)
見ただけでも、ちょっと心許ない形に見えませ
んか?そして、柱の太さが15cm角になった場
合に四方から梁が刺さってくると残りの断面積
は152.04㎠になり、左上の図の場合よりも断
面積は大きくなります。更に柱が太くなり18
cm角になった時に四方から梁が刺さってくる
と、残りの断面積が251.04㎠となります。
勘の良い方は、既にお気付きと思いますが、木
の断面積と強度はある程度比例します。従って、
建物の中心にある大黒柱は構造的に太くしなけ
ればならなかったと言う理由もあるのだと思い
ます。