兵庫、京都、大阪で誠実に、丁寧に木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所

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兵庫県丹波市を拠点に誠実に、これからの木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所 芦田成人のブログです。

暗さを嫌う?

住宅設計の仕事をしていると、
部屋の明るさの優先順位は
かなりの確率で高いことを感じます。
逆を言えば暗い家は嫌われ易い
と言うことですが、果たしてそうでしょうか?

少なくとも古民家と呼ばれるような
大きな屋根の軒の深い家で
暮らしていた頃までは、
日本人は暗さも受け入れていた
と思うのですが、
その頃の建具と言えば障子です。
受け入れると言うよりも、
それしか無かったから、
家の中心部は暗いのが当然と
思われていたのだと思います。

その頃は未だガラスが世間一般には
広く普及しておらず
明治維新以降の生活の西欧化によって
本格的に建物にもガラスが
使われ始めたそうで、
一般家庭への窓ガラスの普及は
関東大震災以降の話だそうです。

ガラスが使われるようになって
明るさのムラが解消されたのかも
しれませんが、さて家の中が、
何処に居ても一様に明るい
と言うのも気持ち悪く思います。

朝目覚めた時、人の目は徐々に
明るさに慣れるようになっていることを
皆さんは毎日体験されているはずです。
という事は少なくとも寝室は、
そんなに明るくなくても大丈夫なはずです。

又、一日の内長く過ごすことが多い
リビングなどは明るくつくられることが
多いのですが、テレビの位置などとの
関係を意識しないと光の反射で
テレビが見えにくいと言うことも起こります。

そして陽射しが強すぎると
繊維や美術品なども紫外線で
痛みやすくなると言った
デメリットもあります。

このように考えると家の中には
明るい所と暗い所、
光のムラは存在していても
良いんだと思います。

昼間から電気を灯して
生活しなければいけない
と言う状況は確かに辛いですが、
南に大きな窓を設けても、
その窓の真ん前は
人通りの多い通りであった場合、
ずっとカーテンを閉めたまま
生活しなければならず、
折角設けた大きな窓も台無しになります。

もっとも、これらは自然光での話ですが、
次回は人工照明による
明るさについても考えて行きたいと思います。

Narito Ashida