住まいづくり通信 6/19号
アンカーボルトの田植えは止めてくれ!
今日の一言は、ずばり、これですが、まず用語の説明からしなければいけません。
まず、アンカーボルトとは鉄筋コンクリートの基礎と木の土台と言う異種の材料同士を固定するためには何かが必要になります。この何かがアンカーボルトと言ういわゆる先端にねじ山が切ってあるボルトです。
田植えとは、基礎のコンクリートの中に、このアンカーボルトを埋め込む事によって固定する訳ですが、昔は殆ど基礎のコンクリートを打った後に、まるで田植えをするようにしてこのアンカーボルトを差し込んでいました。これを田植えと言います。左写真(俗称なので通用しない所もあるようですが)
随分昔に実際に、田植えをやってみたのですが、良く分かったのは、まずコンクリートはもう既に固まり始めている事(何故、固まり始めている所に差してはいけないかについてはプリンやゼリーを想像して下さい、固まり始めている所を箸などでツンツンすると、ぐちゃぐちゃになりますよねそれと同じ事です。)、中の鉄筋やコンクリートの材料でもある骨材に邪魔されて所定の位置には設置できない事、高さの調整も難しい事(沈みすぎたり、高過ぎたり)、上手く起立しない事(斜めに倒れる)など悪い事だらけ、田植えのように、すうーっとコンクリートに埋め込めればいいのですが、既に固まり始めているために実際はボルトでコンコンと突付いてみたり、ゲンノウや金槌でボルトを叩かないといけないこともあり、いかにもコンクリートを傷めている事が実感出来ます。
おまけに写真のように土台のとんでもなく意味の無い所(左写真の緑矢印の位置等)にボルトが配置されるのでは、何のために材料の継ぐ位置を最初に決めておいたのかが分からなくなります。これは出来るだけ止めてもらわないといけません。左写真は壁パネル工法によりアンカーボルトを座彫りと言って土台よりも上にボルトが出ないように沈めていますが、田植えをせずに施工されていれば位置としてはこれくらいの所にきっちりとボルトが来るようになります。
と言う訳で、私共では、こんな風にしてアンカーボルトの設置をしていますと言う意味で載せたのが左の写真。合板に穴をあけて、そこにボルトを通し、型枠上に正確に位置を出してもらい釘で止め、高さの加減はボルトにテープを巻いて下には沈まないようにすれば、大してコストもアップせずに正確且つコンクリートを傷める事無くボルトの設置が出来ます。
要はコンクリートを打つ前にアンカーボルトを先行させて取り付けておく事、手間は掛かりますがその方が建物の品質確保の点からは有効です。
こう言った事が出来る製品もあるようですが値段もそこそこするようで、今の所、採用した事はありませんが、大切なのは、やる気と工夫だと思います。